■ソマリとアビシニアンの長毛・短毛の関係と遺伝
上記はカラーに関しての遺伝ですが長毛に関しての遺伝はそれほど複雑でなく、ルディとレッドの関係と同じですので、詳しい説明は省きます。
ただし、実際に交配したときにどのように子猫が産まれるかの確率表をここに掲載しますので参考にしてください。
短毛遺伝子は長毛遺伝子に対して優性なので、長毛(ソマリ)と短毛(アビシニアン)を交配するとすべてが短毛として生まれてきます。
この猫はショートヘアソマリとなり、血統登録ではAOVとして登録するようです。
右下にも書きましたように、ソマリとショートヘアソマリの交配は認められていますが、アビシニアンとショートヘアソマリの交配は認められません。
同じ理由によりショートヘアソマリ同士の交配も認められません。
現在検疫の関係でアメリカから優秀な血統のソマリが日本に入りにくい状況にあります。遺伝上近いソマリ同士で交配をくり返していると、やがて生命力が衰え、体格も貧弱になってきます。これを近交弱勢または自殖弱勢と言います。対して、猫種や地域が異なるなど、遺伝的に遠い組合せで交配すると、両親より大きく、逞しく、丈夫な子が生まれます。この効果は、両親の遺伝形質が遠く離れていればいるほど、顕著に現れます。これを雑種強勢(ヘテロシスまたはハイブリッド・ビガー)と言います。
この近交弱勢を防ぐためにアビシニアンとソマリを交配して、ショートヘアソマリが作出されているわけです。これはアビシニアンの良い形質をソマリの遺伝子の中へ取り込むために行われるわけです。それ以外にはブルーやフォーンのダイリュート遺伝子を取り込むためにも行われています。
産まれたショートヘアソマリ(第一世代)は50%がアビの血です。その子にソマリをかけ、産まれたソマリ(第二世代)は25%がアビの血です。このようにタイプの改良や遺伝的に遠い性質をソマリに入れるわけです。
しかし、この時に1/2の確率でショートヘアソマリも産まれます。このショートヘアソマリも25%がアビの血ですが、本来ソマリのタイプ改良のために交配をするのですから、このショートヘアソマリに更にソマリをかけるという事はしません。産まれた子(第三世代)は12.5%しかアビの血が入っていませんから。しかも、この時にも1/2の確率で更にショートヘアソマリが産まれてしまうのです。そんな子をわざわざタイプの改良のために交配する必要は無いのです。つまり、ショートヘアソマリと言っても、交配に使って良いのは第一世代のショートヘアソマリだけで、第二世代以降のショートヘアソマリは去勢避妊するのが前提です。
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