SHPmark D
D-1
border

spacer
ブリーダーについて

■私にとってのブリーダーとは

イヌのブリーダーと猫のブリーダーとは現時点では違うと思っています。だから、猫に関してのみの話になるけれど。(犬のブリーダーの世界を具体的には知らないので勝手なことは言えません。)

“ブリーダー”みなさんはどの様にこの言葉の意味を捉えていますか?
たぶん犬のブリーダーのイメージを持たれるのではないでしょうか。テレビのコマーシャルでも「トップブリーダーが語る」みたいなのがありますからね。
皆さんが感じられるイメージのブリーダーを私は“繁殖者”と言っています。純血種同士を交配して純血種の子供を繁殖して販売している人。そして私の思っているブリーダーはブリーディングする人。えっ!何が違うのかって?

“ブリーダー=繁殖者”と訳されることが多い。確かに翻訳するとこうなるのだろう。でも、私がイメージしている“ブリーダー”とは選択交配する事によって、より良い猫(猫種)を作出する人達のことであり、“繁殖者”は猫(純血種)を交配させて繁殖させている人達のことだと考えている。
やはりわからない?一体どこが違うのかって?純血種同士を交配させれば繁殖者になれるかもしれないが、ブリーダーになるには、沢山のことが求められるのではないだろうか。まず、そのブリード(猫種)のスタンダードを知ること。その猫種が一番美しいと思われる姿、形、性格などを見て、聞いて、さわって、育てて、身体で感じる事が必要となる。もちろんスタンダードブックに書かれていることも理解する必要がある。遺伝に関することも知る必要が出てくるだろう。猫を飼育していく上での食事(栄養管理)、健康(医療知識)、環境、行動学なども知る必要があると思う。

他の猫種のブリーダーさんのことはわからないが、私が育てているソマリの場合について述べてみよう。

ブリーダーを始めた頃から、誰々の家でAとBの子が産まれたと言っては、皆で見に行き、意見の交換をする。他でCとDの子が産まれたら、またまた見に行く。しばらくしてAとDの子が産まれたら、今度は前回の組合せと比べてどうかを見に行く。その子猫達がが育ったらどうなるかも見に行く。自分の思っているスタンダードに、どの組合せだと、どう近づくのかを見ていく。(仲間が東京近郊に住んでいたこともあるが。しかし、キャットショーのない休みの日も殆どつぶれていた。)
もちろん自分の家の子も交配を変えて、どうなるのかを知る。自分の所で残しておいた子は当然として、他の方に譲った子猫も、どう成長していくのかを見ていくようにしている。同じ組み合せでも、それぞれの出産で、生まれる子猫達は違う。同胎の兄弟でも違う。どう違うのか?その子達がどう育つのかを見る。そうやって得た知識と経験を基に、スタンダードに近づけるための組合せを考え、交配していく。
だから、仲間同士での交配のやり取りは当たり前だった。ソマリ全体のレベルアップのために、若干のリスクをしょい込んでも交配をしてあげていた。もちろん、失敗も沢山あった。でも、そうやってソマリをブリーディングして来て、やっとショーなどで高い評価を得られる所までやってきた。

アメリカのキャッテリーと違い、一軒の家(キャッテリー)で猫を飼える頭数は限られている。無理に詰め込めば目が行き届かなくなり、病気の巣窟になる可能性も高くなるだろう。男の子を何頭も飼うのもきついものがある。それより、猫一頭一頭に愛情が行き届かなくなる。では、どうするか?キャッテリー同士が連絡を密に取り合い、意見を交換しながら、ブリーディング計画をキャッテリー間同士で出来るようにするのが良い方法だろう。交配をしあったり、生まれた子猫を交換しあったり。そうやって行けば、単独で繁殖しているブリーダーより多くの可能性が開けてくるだろうし、個人にかかる負担も最小限になるだろう。


■繁殖しているのはなぜ?

私も含めて、猫を飼って、繁殖している人は沢山います。なぜ猫を飼っているのでしょう。「猫が好き」って言うのはこの際当たり前として考えなくても良いでしょう。もう少しマニアックな部分での事です。
まずは、キャットショーそのものが好きで、ショーでファイナルに入り、ジャパンアワード上位を狙いたい人。それが高じて他人の繁殖の猫ではなく自分の繁殖の猫で上位を狙いたい欲求が出てくる人。同じようにショーが好きでも、ジャッジになりたい人もいるでしょう。ショーにはあまり興味がなく、お金儲けがしたくて純血種を繁殖している人。そして、ペットとして、人生のパートナーとして猫を飼っていて、一回くらいは子供を生ませてあげたいと思っている人(大半の人がそうだと思うのですが)。

私も最初はペットとして、がスタートでした。でもその後がちょっと違ったのです。
ペットとして、人生のパートナーとしては当然です。ただ、ソマリという種類を飼ったため、こんな深みにはまってしまった。(悪魔のような猫なのかも?)ソマリという種類が大好きになったため、より美しく、より飼いやすく、より性格の良いソマリになってほしいと願い、一人でもソマリ好きな人が増えれば良いと考えて繁殖を始めたのです。数は多くなくても良い。本当にソマリが好きでたまらないと言う人を少しづつ増やして行ければと考えたわけです。

私は基本的にキャットショーは好きではありません。わが家の猫もみんな嫌いだと言ってます。(^^) では、なぜショーなのか?
ひとつはソマリの現状と、それに対するジャッジの評価を見ること。もう一つは、ショーに出すことにより、様々な人に少しでもソマリを知ってもらうこと。そして、自分の繁殖したソマリを評価してもらうため。(これは、ジャッジだけでなく、他の人にも)その為にキャットショーに参加しているわけです。
ただし、ジャッジの評価=正しい評価と単純に考えてはいません。ジャッジは沢山の猫を見ていますし、海外にも行って勉強をしている人もいます。ですから、私たちが知っている以上の共通基板の上に立って評価を下せる立場にあります。しかし、その猫種専門のブリーダーの、その猫種に対する見方はジャッジ以上だと思います。(そのブリーダーが常に勉強していて優秀な場合ですが)ですから、一般的な見方や猫としての全体的な評価はブリーダーがジャッジに学び、詳細な部分での評価はジャッジがブリーダーに学ぶのが正しい姿なのでしょう。(ある意味で、そのためにブリードカウンシルがあるわけです。)

また、ブリーダーはある目的のために、交配計画の途中経過としての猫もショーに出します。その猫がショーで高い評価を得たとしても、低い評価であったとしても、ブリーダーにとって、その猫はブリーディングタイプ(ブリーディングするにあたって、次のステップアップのための猫)でしかない場合があります。常に先を見ながらブリーディングしている人にとって、ショータイプは現実的に存在しないことなのかもしれません。とは言っても、一般的な意味でのショータイプとはキャットショーでいい成績が取れる猫と解釈すべきでしょうが。


■ブリーダーとして

ブリーダーとしてどうあるべきかって事を考えてみました。本来生まれたソマリを全部残して置いて、どの様に生長していくかを見届けられたら一番良いはずです。でも現実的にそんな事は無理。ですから生まれた子の中で自分の考えるラインから外れる子は新しいオーナーに譲って可愛がってもらう。それが必要になってきます。けして駄目な子という意味ではありませんよ。自分で考えた繁殖計画のラインに近い子を残して、それ以外の子を譲るだけです。その時の一番の条件は死ぬまで不自由することなく健康で幸せな人生(猫生?)を全うできる環境を提供してくれる人に譲るということです。そしてそのために、ブリーダーも譲り先を吟味するわけです。

健康で幸せな猫生を送ってもらえるように、ブリーダーは新しいオーナーに様々なアドバイスをすることも必要な事です。【私にとってのブリーダーとは】の箇所でも述べましたようにブリーダーはそのためにも猫に関わる知識が必要になってきます。そしてアドバイスが出来ないようなブリーダーはある意味では“繁殖者”になってしまっているのかもしれません。

ブリーダーですから、自分の繁殖した子猫がどのように成長してくのかを知ることはとても大事なことです。ですから、新しいオーナーに直接譲るのです。そして生長の過程を知らせてもらう、もしくは時々見せてもらう。そうやってその系統のブリーディングの状態を知るわけです。もし、産ませた子猫をペットショップに譲っていたらどうでしょう?猫問屋からショップへ売られる場合もあります。ショップから購入した人はどこの誰か、どこに住んでいる何て名前の人なのか、その子猫がどのように成長していくのか。知ることも無いわけです。それでブリーダーと言えるでしょうか?そうです、それは単なる“繁殖者”でしかないわけです。

PAGE TOP
SHP-D-3-5SHP-D-3-4SHP-D-3-3SHP-D-3-2SHP-D-3-1SHP-D-5SHP-D-4SHP-D-3SHP-D-2SHP-D-1SHP-ESHP-DSHP-CSHP-BSHP-A